この連載では、英語の苦手意識を払拭し、「話せる!」まで到達する実践的な手法を紹介します。

「謙虚さ」は「逃げている」と誤解される!?

さて、今回は英会話にとって、いちばん大切なことについてお話しましょう。

それはズバリ、「Passion(パッション)」です。

私たちが提供しているEnglish Boot Campでも、「パッションを伝える」ことを踏まえたプログラムを組んでいます。

僕が大学時代、アメリカへ渡ったばかりの頃に観た 『My Cousin Vinny(いとこのビニー)』という映画があります。(面白い映画ですので、よろしければご覧ください!)

その中で忘れられないシーンがあります。主人公の新米弁護士ヴィニーが、クライアントから「クビ」を宣告される場面です。

ヴィニーはそれにひるむことなく、とうとうと演説を始めます。自分がいかにこの仕事に向いているか、どれだけ優れているかを熱弁するのです。

そして「チャンスをくれ」と言うのですが、その言い回しに「should」を使い、「You should give it to me!(あなたは私にチャンスをくれるべきだ)」と、強い口調で断言するのです。

この映画を初めて見たときには驚きました。なんせ彼は、新米弁護士です。まるで成果を出せていないし、うまくいきそうな様子すらない。

クビを言い渡されても当然な状況の中、「いやいや、俺はこんなにすごいんだ!」と反論を始めるわけです。しかも驚くことに、クライアントはあっさり彼にチャンスをあげてしまうのです。

このアメリカという国では、「俺は」「俺は」と言って前へ出ていかなければ、生きていけないのか。自分がこれまで日本の社会で会得してきた「謙虚さ」や「慎ましさ」といった概念は通用しないのか……と、ずいぶん途方に暮れたのを覚えています。

けれども次第に、ことの本質がわかってきました。アメリカでも「humble(謙虚)」であることは、とても重要とされています。ただし、謙虚とは、言いたいことを我慢する姿勢ではなく、批判も厳しい指摘も含めてなんでも吸収しようとする姿勢であること。そして、「言いたいことを言わない」のは「謙虚」ではなく、ただ 「逃げている」「真剣ではない」とみなされることを。

ですから、本当に心から「その仕事をやりたい」と思うのであれば、「チャンスをくれ」と自己主張するのです。「客観的に考えて、ウチの会社の提案がいちばんだと自負している。けれども理由はそれだけではない。私は他でもない、あなたの会社とビジネスがやりたいんだ」と、全面的にパッションで押し通す。それがグローバル・ビジネスにおける成功の秘訣だと考えています。

不確かな未来を信じるには、熱意が必要

新しいこと……つまり、不確実なことを始めるとき、相手は不安に思います。そんな状況下では、最終的にはあなたを信じるしかありません。

その際、あなたの何を信じるか。合理的な説明も当然必要でしょう。しかし、理屈だけでは、不確定な未来は説明しきれません。

そんなとき大切なのは、あなたの熱意です。相手の心を動かすのは「パッション」なのです。

私たちにとって、英語は非母国語で不便も多く、ネイティブスピーカーのように流暢に話すことは難しいかもしれません。その代わり、身振り手振りを使って、全身全霊を傾けて、相手に訴えかけていきます。

自分たちの思いや相手に対する興味心、「何か優れたものを一緒に生み出したい」という気持ちを伝えます。ありとあらゆるものを使って、これでもか、というくらい必死に伝えようとしてください。

その姿勢こそがパッションそのものになるのです。

澄ました顔した冷めた人間じゃない。たとえ英語は少し苦手でも、澄ました態度や自信なさげな表情では、「この人は本気で考えていない」と誤解されてしまいます。物事に対する熱意やこのビジネスに賭ける意気込み、難しい局面があっても、とにかく成功したいという強い意志を、「パッション」として示してみせるのです。

その際、これまでの連載で紹介した「アイコンタクト」「大きな声」「ボディーランゲージ」など、「相手に伝えるためのテクニック」を活用してみましょう。そうすれば、あなたのパッションが目に見えるものとなって、相手の心を動かしていくのです。

英語はあくまでもツールにすぎません。

英語を話せるようになることで、どんなことを成し遂げたいのか。そのゴールは人によって異なりますが、英語がコミュニケーションツールである以上、必ず、他の誰かが関わるものです。それなら、伝えるときには「パッション」を意識しましょう。そうすれば、他の人をどんどん巻き込んで、いつのまにかゴールへたどり着けるのではないでしょうか。

そう考えると、英会話ってわくわくしますね。「苦手意識」とはおさらばして、ぜひ英会話をエンジョイしてください!

さて、今回の記事でこの連載も最後となりました。

お付き合いいただき、お読みいただいた皆様、本当にありがとうございました。ぜひ、皆様の英会話学習が実り多きものになるよう、お祈りしています。

イングリッシュブートキャンプ主宰

児玉教仁